探偵を捜せ!

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有名な作品だが今回初めて読んだ。

舞台は山の上に一軒だけ建つ山荘。その管理人は急用のため山荘を去り、客のウェザビー夫婦と小間使いだけが残された。ウェザビー夫人は遺産目当てに夫を殺してしまう。ところが夫は死ぬ直前に、探偵を雇ってここに来るように命じたと言った。やがて相次いで来る四人の客。いったいだれが探偵なのか、ウェザビー夫人は頭を絞って探り出そうとする。だがいかんせん頭が推理向きにできていないので、恐ろしく行き当たりばったりの行動をはじめる。

パット・マガーはアメリカの作家だが、この作品にはフレッド・カサックを連想させるようなフランスミステリの風味がある。とにかくブラックユーモアが横溢していて、もしかしたらそこが読みどころなのかもしれない。本当は四人の誰も探偵ではなく、夫も死んでなかったら面白いだろうなと思いながら読んだのだが、実際はもっと容赦ないものだった。

今でも新刊で手に入るらしいが「番頭」とか「アベック」とか「点火栓の鍵」(たぶんイグニッション・キーのこと)とかいう古めかしい訳語はそのままなのだろうか。ちょっと気になる。