秘密の合図


昨日のことである。とある不気味なイベントに行ったら、会場で妙齢の美女から人目を忍ぶようにこれを手渡された。



平然と受けとりはしたものの、内心では動揺を抑えられなかった。すでにこうしたものまで作成されていたとは! ふつうこうしたものは本が出てから作るものではないのか。この手回しのよさはなんだろう……どうやら事態は考えていた以上に急速に進展しているようだ。こちらはまだ手さえつけていないのに。
たぶんこのメダルめいたものは、受け取ったら最後、もはや決して後には引けないぞという秘密結社の符牒のようなものなのだろう。裏切ったときは死あるのみ。ホームズでいえば五個のオレンジの種みたいなものか。

それにしてもこういう怪しげな秘密結社を結成するのは四階だけかと思っていたら、最近は三階にまで浸透しているらしい。油断も隙もない世の中になったものである。