百門の薔薇館

皆川博子の辺境薔薇館: Fragments of Hiroko Minagawa

皆川博子の辺境薔薇館: Fragments of Hiroko Minagawa


皆川博子の辺境薔薇館』の寄稿者用献本をいただきました。ありがとうございます。畏れ多くも皆川さん手書きのカードまで同封されています。
さっそく中をぱらぱらと見てびっくり。なんと、東雅夫さんが、「皆川博子を読み解くキーワード20」で、『猫舌男爵』の拙文解説を引用してくれているではありませんか。恐悦とはまさにこんなときに使う言葉でありましょう。

「テーベス百門の大都」という言葉がありますが、この辺境薔薇館すなわち皆川作品世界にも実は百くらいの入り口があります。皆川作品に興味はあるけれど、内容が多彩すぎて何から読んだらいいのかわからない、という方は、まずはこの東さんの文章を参考にされてはいかがでしょう。もしあなたが澁澤好きならこの本から、映画好きならこの本、幽霊好きなら、人形好きなら……というような懇切丁寧なガイドとしてもこの「キーワード20」は重宝します。
日下三蔵さんの著作リストも大変な労作。こちらはテーマ別ではなくミステリ・幻想小説・時代小説……とジャンル別にガイドがなされていて、ジャンルから入ろうという人にはうってつけです。

おお、あと、西崎憲さんの文章にある「世界文学性」というフレーズは言いえて妙です。海外文学は好きだけれど皆川作品は読んだことがない、という人はぜひ『猫舌男爵』を手にとってみてください。きっとアッと驚いて腰を抜かしますよ。