ジョン・コリアは難しい13(差別語の巻)

老人と若者がカフェで話をしている。
老人が胸のポケットから小切手を出して若者に見せる。

若者「おおこの小切手は保証付き(certified)ではないですか」
老人「そうですよ。それこそ連中が私に対してなしえないことなのです」

よく分からないながらも書いてある通りにこう訳すと、F組長からチェックが入った。このcertifyは「精神異常と認定する」の意味をかけているのではないかと。
あわてて辞書を引くと、たしかにそういう意味もあった。"to certify someone as 〜"で、「ある人を〜と認定する」の意味になると思うが、このas以下を言わずにおくと、文脈によっては(as madmanとか言わないのにかかわらず)「精神異常と認定する」の意味になってしまう。同じく"He is certified."と言うと、文脈によってはこれだけで「彼は精神異常と認定されている」の意味になる。
恐ろしいことだ。

いわゆる差別語にたいして言葉狩りが行われることがある。しかし、ない言葉は狩れない。「21世紀のスキッツォイド・マン」なんて変な、何語かも分からないタイトルは止めて、「21世紀の 」で止めておけば、きっと誰も何も言わない。
あるいは、ある者を悪意を持って差別したく、しかし差別語を使うのははばかられる場合は、このような「ゼロ差別語」を使って言わないでおくという手もある。いやはや言葉というものはいやらしいものであります。正確に言えば、いやらしい人が使うといやらしくなるものであります。