職業カラテカ

 
桜庭一樹の連載「私の男」がはじまった。舞台は2008年、主人公は結婚したばかりの25歳の女性。連載一回目から物語は急速に展開し作者の意気込みをうかがわせる。傑作の予感。

「少女七竈〜」のときも思ったが、桜庭作品の第一の特質はその視線だ。ヒロインの目は相手から目をそらさぬカラテカの目。それは愛する人を見る目というよりむしろ対戦相手をみつめる目ではないか。

それからエリアーデの小説のように鏤められ光を放つシンボル。盗んだ傘、サムシング・フォー、玄関のちくわ、古いカメラ。