『藝術の一分野として見た殺人』との関連


(以下は、素天堂氏の下記コメントに応えたものです)
貴重なご指摘ありがとうございました。虫太郎がクインシーの書からヒントを得てオッチリーエ暗殺説を構想したことは大いに有り得ることだと思います。国書の「ド・クィンシイ著作集」自体は手元にないのですが、ご指摘の箇所は恐らく以下の部分だと思います。

The King of sweden's assassination, by the bye, is doubted by many writers, Harte amongst others; but they are wrong. He was murdered; and I consider his murder unique in its excellence; for he was murdered at noon-day, and on the field of battle--a feature of original conception which occurs no other work of art that I remember (Masson vol.XIII,p.23)
(ところで、スエーデン王暗殺説は、ハルトをはじめとする多くの著作家によって疑念を表明されてきた。しかし彼らは誤っている。彼は実際に殺されたのだ。そしてこの殺人はその素晴らしさにおいて他の追随を許さないとわたしは考える。なぜなら彼は白昼に戦場で殺されたのだから――これはわたしの記憶する限りでは他の(殺人)芸術には見られない独創的なアイデアである。

この暗殺説自体はハルトの本では以下のように紹介されています。

Many have supposed Francis Albert, duke of Saxe-Lauenberg, concerning whom we have spoken in various places, in order to give some light into what hereafter may follow, to have had some hand in the King's death, not by open force and an act of murder, but by concealed indications agreed on betwixt him and the Imperial party (vol 2, p.379)
(これまでにも度々言及したザックス-ラウエンベルク公フランシス・アルバートが、王の死に何らかの関わりを持っているのではないかと多くの者が考えている。すなわち王の死は戦闘行為によるものではなく、フランシスと連盟軍の共謀により密かに指示されたものではないかというのである。そう考えると以下に述べる事柄にうまく説明がつくのである。)

しかし、ハルトはこの説に対して、どちらかというと中立的な態度をとっているようです。

We can say no more, and the truth must be left to the great searcher of all secrets (p.381)
(われわれはこれ以上言えない。真実は、あらゆる秘密の大いなる探求者に委ねられなくてはならない<「神のみぞ知る」ということか?)

お答えできるのはこの程度です。あまり大した情報ではなく申し訳ありません。