決断の時

火星ラストソング

火星ラストソング


 倉阪鬼一郎さんの『火星ラストソング』を読みたくてたまらない。二年前に出た本らしいのだが、今まで全然知らなかった! 電子書籍でしか売っていないからだ。電子書籍は今まで避けてきたのだが、とうとう導入せざるをえない日が来たのかもしれない。

 実は少し前にも導入しかったことがある。去年の終わりころ、太田忠司さんの『麻倉玲一は信頼できない語り手』が本にならないと聞いたときだ。清涼院流水さえ出してしまったあのメフィストが本にできないというのだから、これはよっぽど奇妙奇天烈な小説に違いない——と(江戸川乱歩風に言うなら)わたしの中の鬼がムクムクと頭をもたげてきた。そこでやはり電子でしか売っていない『メフィスト』のバックナンバーを揃えようとしかかった——のだけれど、翻訳の締め切りが迫っていたことその他いろいろあってせっかくの機会を見送ってしまった。

 しかしここに大いなる障壁がある。電子書籍を読むためのデバイスを持っていないのだ。アドレナライズのサイトを見るかぎりでは、kindle、楽天kobo、iPadの三つの選択肢があるようだが、さてどれにしたらいいのか。kinndleはカスタマーレビューの星一つのところを見るちと買うのに躊躇するほどの酷評が並んでいる。koboは逆にレビューが少なすぎて不安である。思い切ってiPadなるものにするしかないのか……