『イヴ』ついに発売!

J.B.キャベル『イヴのことを少し』がアマゾンで「在庫あり」になりました。どうぞこぞってお求めください。毎月の国書税が厳しい昨今ですが、版元でマニュエル伝を担当されている方に話をうかがったら、この『イヴ』は、「当社ではもっとも安い価格帯の本」で、あの会社では値段のうちには入らないらしいです。実際、別のルートから聞いた話によると、かの版元には「五万円以下の本は作らない」人さえいるのだとか。怖い世界ですね。

イヴのことを少し(マニュエル伝)

イヴのことを少し(マニュエル伝)

  • 作者:J.B.キャベル
  • 出版社/メーカー: 国書刊行会
  • 発売日: 2019/12/22
  • メディア: 単行本

むかしはこの本は字で書いたマンガだと思っていて、一考さんのいたころの「ですぺら」でも「マニュエル伝というのはつまり『うる星やつら』なんだよ」と豪語していたものですが、今回翻訳するため精読したら、必ずしもそうではなかったのでちょっと反省しました。主人公のジェラルド・マスグレイヴも、以前は諸星あたるの親戚くらいに思ってましたが、必ずしもそうとはいえないかもしれません。

とはいえ、本書の第十六章などを読むと「字で書いたマンガ」説を完全に否定するのも、やはりきわめて困難かと思います。ここらへんの展開は、かの、つボイノリオ先生をさえ思わせるものがあります。作者の人は生前不遇感を抱いていたらしいですが、こんなのを書いて文壇に認められようというのは、もしかしたらずうずうしいのではないでしょうか。読者の皆さんはどう判断されるでしょう。