ヴァリスの訳注

サンリオSF文庫『ヴァリス』の訳注といえば、初読以来気にかかっているところが一か所ある。と書くと、「ああ、あそこね。うんうんわかるよ」とうなづいてくれるかたも何人かおられると思う。そう、ここである。


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ちなみにこの「トラヴル」は創元推理文庫版*1にも引き継がれている。鵜の目鷹の目リンクスの目を持つT京S元社の校閲陣がこれを見逃すわけはないから、おそらく訳者と校閲者のあいだでパチパチパチと火花が飛んだあげく、最終的に「トラヴル」に落ち着いたものだと思う。

かくいうわたしも、troubleのカタカナ表記としては、「トラブル」より「トラヴル」のほうがかっこいいと認めるにはやぶさかではない。しかし自らの訳文で「トラヴル」とやる度胸はない。いや仮にあっても、少なくともT京S元社の校閲陣は許してくれないだろう。

早く大御所になって好き勝手なカタカナ表記ができる身分になりたいものである。

*1:この当時はまだ創元SF文庫はなかった