近況

ナツメグの味』が課題図書に。無理やり読まされてる(かもしれない)人の困惑が見え隠れして面白いやら気の毒やら。まあ「課題」として読む本じゃないよね。

水曜はですぺら主人とりきさんと三人で、阪神大震災の災厄について談論風発。Cさんが怒った。

Diary Of Geza Csath

Diary Of Geza Csath

いまはなき「小説幻妖」に南條訳で短篇が載ったこともあるハンガリーの夭折作家ゲーザ・チャート(1887-1919)の日記。ハンガリー小さな出版社から英訳で出た。
日記だけれども小説以上に面白い。
著者はハンガリー郊外の湯治場(スパ)に、医師として勤務している。そして婚約者がいるにもかかわらず、片っ端から女に手を出している。患者だろうが女中だろうがおかまいなし。ヴィクトリア調ポルノも顔負けの描写が100ページ近く続く。
しかし途中から雰囲気が一変し、芥川の「歯車」みたいになる。それもそのはず、著者は重度のモルヒネ中毒なのだった。すると今までの記述も「信頼できない語り手」による妄想だったのだろうか? 描写はあくまで明晰なのだけれど……。