北沢書店70%割引セールの売れ残りがぼちぼち古書店に出ているようだ。腐っても鯛、売れ残っても北沢。思い切って安くなければ(たとえば千円以下でないと)買う気がしないような怪しい本が巷に溢れるのは楽しい眺めである。そこで今日はこんなのを買ってみた。
A Dictionary of Common Fallacies
- 作者: Philip Ward
- 出版社/メーカー: Prometheus Books
- 発売日: 1999/01/01
- メディア: ハードカバー
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これは一般に信じられてはいるが実は根拠の無い「知識」を集めて事典形式で解説した本である。ものすごくたくさん項目があるが、半分くらいは日本人にはピンとこないものである(「赤毛の女は短気である」とか)。迷信の質にもお国柄というのが出るのかもしれない。
そこでわれわれから見ても面白そうなのを拾うと、たとえばこの本によれば、下に挙げる人口に膾炙した説は誤っているか、あるいは明白な根拠がないということだ。(中には「それがウソだっていうのはとっくに知ってるよ〜、今更ことごとしく書くなよ〜」と思われる人もいるかもしれないが、拙豚の無知に免じて許してほしい)
・ワシントンは父親の桜の木を伐った
・梅毒は新大陸からヨーロッパにもたらされた
・タバコの害の主原因はニコチンである
・鮫はたびたび人を襲う
・サンドイッチはサンドイッチ伯爵により発明された
・心臓は胸郭の左側にある
・ギロチンはギロチン博士により発明された
・エスキモーはイグルーに住んでいる
・ディオゲネスは樽の中に住んでいた
・蝙蝠やモグラは盲目である
・シュリーマンはトロイの遺跡を発掘した
・ハンフリー・ボガートは「カサブランカ」の中で"Play it again, Sam"と言っている
・マリー・アントワネットは「パンが無いならケーキを食べたらいいのに」と言った
・ヘレン・ケラーは生まれつき三重苦だった
・英国でCountessと言えばCountの妻である
・人間の体は7年ごとに全く新しくなる
もちろん各々の項目には、それがなぜ根拠がないか説明され、時には参考文献があげてある。たとえばマリー・アントワネットの場合はどう説明しているかというと、「パンが無いなら〜」発言は、ジャン・ジャック・ルソーが「告白」の中で「ある王妃がこういうことを言った」と書いているのがソースになっている。しかしルソーがそれを書いたのは、マリー・アントワネットがフランスに嫁に来る二年前なのだそうだ。だから、この「ある王妃」はマリー・アントワネットではありえないことになる。(もっとも拙豚自身はまったく裏はとってない。すべてこの本の受け売りである)