このゲームの名は

泪坂 (光文社文庫)

泪坂 (光文社文庫)

嫁入り直前の娘と死別した老職人の寂しい生活。気のいい隣人たち。情景の断片がジグゾーパズルのピースみたいに次々と作品の上に置かれていく――どうもまだ、肝心なところのピースが埋まっていないようなモヤモヤ感を残したまま。そして最終章近くで、これはジグゾーパズルではなかった、詰碁だったということが明らかになる。ジグソーのピースと見えたものは、実は白石と黒石に分かれていた。
作品中の描写そのままの職人芸で仕上げられた巧緻な一篇だと思いました。