骨董箱見本出来

さるやんごとない方の一言がきっかけで飛ぶように本が売れ、たちまち転がり込む恐ろしいくらいの大金。しかし「宵越しの銭は持たねえ」とばかりに、儲けはすべて採算ウルトラ度外視の箱入り美装本につぎこむ、そんな特殊版元がどこかにあるという話を聞きました。昨今では出版関係者が二人顔をあわせたら、まるでお天気のあいさつでもするように、「あの版元が羨ましい」とささやき交わすそうです。

その真偽はともかく(まあ面白すぎるのでデマにきまってますが)、とうとう『怪奇骨董翻訳箱』の見本ができてまいりました。

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(画像は国書刊行会のツイッターよりお借りしました)

どうですこのアラベスクな壮麗さ。内容の千夜一夜ぶりを予感させる卓抜な意匠です。神保町でいえば、玉英堂あたりのガラスケースに5ケタの値をつけて展示されていてもおかしくない造本ではありませんか。この大盤振舞でこの価格だと、おそらく刷れば刷るほど赤字になるでしょうから、再版はまずないと思います。初版にしても微々たる部数ですから、なるべくお早めにお求めくださいますよう。来週後半あたりから書店に出回るはずです。いずれ告知があると思いますが、例によってツイッターで応募する特典もついています。


ところで骨董箱見本といっしょに聖杯第二弾も受け取ってきました。さっそく湯舟代わりにくらりが入っています。

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中野さんありがとうございます。ああしかし、中野さんの麗訳に対抗せねばならないとは、自ら撒いた種とはいえ、何と因果なことでしょう。あまりのプレッシャーに耐えきれず、とうとう〆切を一か月延ばしてもらいました。