新宿の一角にゴールデン街なるものがあるそうだ。マルコ・ポーロ伝えるところのジパングのように黄金の瓦が軒を並べているところなのか、はたまた往時のプラハの錬金術師通りのように怪しげな者たちが秘術の探求に精を出すところなのか、いつとも知れぬ頃からその街は存在し、都政方針変更による消滅を危惧されながらもしぶとく昔と変わらぬ姿を今にとどめているらしい。
かくてわれら秘密結社の面々は、良からぬたくらみを胸に秘めて、黒衣の美女が深夜から夜明けまでを宰領するその酒場へ足を運んだのであった。あらかじめ翌日の半休を取ってきたという黄金の夜明けを迎える気満々のつわものもいた。
だがそんなわれわれを待ち受けていたのは恐ろしい罠だった。秘密の天井裏に伸びる梯子。地の底まで果てしなく沈む椅子。いきなり鳴りだす非常ベル。われわれの集会が敵に感知されたのだろうか。はたして秘密結社は無事にミッションを完遂できるのか。奇絶、怪絶、また壮絶!