兄なれどしもべの如くふるまひぬ

妹の春着はうすき紫に散り櫻など見のよろしけれ
妹の春着は何の色をなど母問ひたまふ村濃卷染
兄なれどしもべの如くふるまひぬわれにひとりの妹なれば
別れとは悲しきならひ妹のうるめる瞳みてあることも
本の間にはさまりてありし妹のぬけ毛をみ出でさしぐまれぬる

矢野目源一妹萌え連作(『搖籃(ゆりかご)』より)。実際に妹さんがいたのか、それとも脳内なのかはつまびらかにしない。しかしこんな歌を詠む人が後にヴァテックを訳すのであるのか……