ぐるぐる回る話

 
藤原編集室の今日のあぶくで、泉鏡花がぐるぐる回る話が紹介されている。

おおこれは読んだ、どこかでつい最近読んだ。そうそう、「百物語怪談会」所収の「巻末付録 不思議譚」のなかに同じ逸話が紹介されている。

……妙な奴だと思ってよく見てると一寸(ちょっと)顔をこちらに向けたので、気をつけて見ると顔が卵のようで眼も鼻も口もないので吃驚(びっくり)したと云うことでした。それから泉さんはよくポストの周りを廻ってそれから入れるそうじゃありませんか。……(『百物語怪談会』p.342)

 
「不思議譚」として、鏡花がのっぺらぼうとまるっきり同格に語られているのがおかしい。明治の人々には鏡花も魔の一族と思われていたのだろうか。