ジョン・コリアは難しい4(訳語の巻)

 
むかしむかしあるところで、船乗りたちが骨董店で怪しげな壜を買った。店の親父の言うには、その壜には絶世の美女が封じ込められているのだという。船乗りは壜を携え仲間と海に出て行った。そしていざ船上で壜を開けてみると、あにはからんや、出てきたのは美女ではなくて一人の青年だった。そのあと物語はこう続く。
 

their disappointment knew no bounds, and they used him with the utmost barbarity.
(直訳:船乗りたちの失望は限りなく、彼らは青年を極端な野蛮さとともに使った)

 
聞くところによるとBLならワセリンを使う場面でJUNE小説ではローションが使われるのだという(いやもしかしたら逆だったかもしれない)。しかしローションにせよワセリンにせよ、あるいはイルリガートルにせよ、船の上にはそんなものあるはずもないから、まあutmost barbarityということになるのでせうね。そういえば”Bottle Party”というタイトルもなんだか意味深でつ*1

しかし問題は、この"use"という単語を、品を落とさず、かつ意味がちゃんと伝わるように、かつ原文のようにさりげない表現で訳するにはどうすればいいかということだ。これはなかなか難しい。でもこの短篇は拙豚の担当じゃないから、その点では気が楽だ。きっとだれかが見事に訳してくれることだろう。
 

*1:いちおう蛇足。リーダーズ英和によるとbottleには「尻、けつ」という意味があるそうだ。だからこの短篇のエンディングの後でそういったbottle partyが始まったのかもしれない。普通の意味は「酒を持ち寄って行うパーティー」だけど、この短篇のどこにもそんなパーティーの場面はないから。