アリスから幸福の王子へ

中井英夫―虚実の間に生きた作家 (KAWADE道の手帖)

中井英夫―虚実の間に生きた作家 (KAWADE道の手帖)

 
本多正一氏入魂の編集による『中井英夫 虚実の間に生きた作家』が出ました。拙豚も氏の厚意により「中井英夫作品案内」なる文章を寄せています。

しかし中井英夫と言われても、
中井英夫萌え〜〜〜萌え〜〜〜萌え萌え萌え萌え〜〜
本当はこれ以外に言うことは持ち合わせていない。

そもそも、言葉のない世界にまで下りていって、いままで誰も見たことないワンダランドを見せてくれた人をしたり顔であれこれあげつらうなんて、そんなことが人間世界に許される行いなのか。少なくとも俺にはできない。とてもできない。そんな無神経なことをしたら、(以下140字削除) それだけはいやだ……なんとしてもいやだ……

と意味不明の煩悶を続けているうちに締切りは一ヶ月すぎ二ヶ月すぎ*1、本多氏から催促メールが毎日来るようになるとそうもいっていられず、頭を絞ったあげくピエール・メナール方式でいくことにした。
つまりセルバンテスが書いたドンキホーテだと思うから行き詰るのであってピエール・メナールが書いたドンキホーテだと思えばいい。俺が今読んでいるものも中井英夫が書いたんじゃない、どこかの別人が書いたものがたまたま同じテキストになっただけなんだと自分に強力に暗示をかけて、たらたらと下書きを書き始めてみたものの、やはりこういう自己暗示はどこかに無理があるものと見えて、すぐにまた行き詰る。

う〜んう〜んう〜んう〜んどうしよう、と唸っているところにふとアイデアがひらめいた。アリスで始めて幸福の王子で終わればいい! そこで一気呵成に書き上げてメールで送ったのでありました。あとで見返してみると「米田亜利夫」とか、お前それでも中井ファンか〜と自分で突っ込みを入れたくなるぐらい恥ずかしいミスが散見されましたがまあなんとか書けてよかったよかった。しかし「アリス〜幸福の王子」を思いついていなければ、未だに原稿は書いていないかもしれない。考えてみれば恐ろしいことではある。
 

*1:ふだんはちゃんと期日を守ってます。念のため