貴族の尻は萌えなのか?

素天堂さんよりサドの漫画本をいただく。といってもサドが獄中で描いたマンガとかそういうものではなく、サドを主人公にしたイタリアのコミックである。早い話が素天堂拾遺のここで紹介されているものだ。

しかしエロチックな場面は目を皿のようにして探しても全然なかった。イタリア語はまったく読めないので絵だけでストーリーを想像するしかないのだが、これはたぶん青年時代のサドと謎の東洋人の対決を描く冒険物のような気がする。

ところでこの時代のフランスには宮殿にさえトイレというものがなく、貴族たちは人目につかないところでこっそりと用を足していたそうだ。今の野良犬や野良猫とあまり変わらない。

それを忠実(?)に再現したのが下の二コマ。「小」をしている黒服の青年がサド。ローファーの爪先を立てて「大」をしている人の方はよく分からないが、「ドナチアン」などと侯爵サドにタメ口をきいているところから考えて、やはりやんごとなき貴族階級の人なのだろう。尾篭なシーンのわりに節度のある描写には好感がもてる。サドの後ろ髪を束ねる大きな黒いリボンもキュートだ。


尻を出している貴族の最後のセリフ"Donatien, io non posso parlare." は「ドナティアン(サドのファーストネーム)、わしゃよう言わんわ」という意味かな?

それにしても、なぜここにこういう場面がなくてはならないのか理解に苦しむ。もしかしたらサービスシーンのつもりなのだろうか。なにしろ全篇を通じてむき出しの尻が登場するのはここだけだから。

われわれは貴族の尻なぞ見ても大してうれしくもない。ましてやウ〇コしてるところなど…… しかしヨーロッパの人の萌えポイントはおのずから異なるのだろう。