金玉を噛まれる

 ちょっと必要があってフランク・ヴェデキントの日記を拾い読みしていたらこんな一節にぶつかった。
 
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「彼女は[…]をちょん切ろうとしたが[…]、僕の金玉を噛んだので僕は痛さで悲鳴をあげた」。ここだけは本人も恥ずかしかったのかフランス語で書かれてある。噛む方も噛む方だが噛まれる方も噛まれる方である。だがそのあと医者に行かなくてもよかったのだろうか。他人事ながら気にかかる。行きづらいのは十分理解できるけれど……
 
 ヴェデキントは昔は『春の目覚め』の作者として有名だったけれど、今は映画『エコール』の原作になった『ミネハハ』やルル二部作のほうが知られているかもしれない。
 
 
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 これはアラステアの二色刷り挿絵がたくさん入っている二巻本選集。金玉を噛まれるような奴の本がこんな美麗な形で出ていいのだろうか。他人事ながら気にかかる。
 
 
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 こちらは生田耕作旧蔵の『ルサルカ侯爵夫人』仏訳本。奢灞都 (さばと) 館の蔵書印が捺してある。いかにもサバトの館に蔵されるにふさわしい本、なのかもしれない。
 
 
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 令嬢二人と合奏するヴェデキント。タンバリンがかわいい妹さんはカメラマンに向かって「何見てんのよ!」とガンをとばしている。