中井英夫生誕百年祭に参加

あまりにも暑いので家にじっとしておられず、恵比寿で昨日から催されているGalerie LIBRAIRIE6の中井英夫生誕百年祭に行ってきた。

1941年に書かれた日記の一部と死の直前に書かれた覚書が並べて展示されていたのだけれど、筆跡がそっくりなのにびっくり。ふつう筆跡というものは年をとるにつれて変わっていくものではなかろうか。それがまるきり瓜二つなのである。使っている万年筆さえ同じものではないかと疑われる。「う~んさすが中井。時間を自在に往復しているな」と妙なところで感心した。

コンピューター学校に通っていたころの学生証みたいなものもあった。中井とコンピューターの関係についてはまだ誰も本格的に突っ込んでいないようだ。機会があれば書きたいものだ。

そんな感じで展示品に見入っていると「たしか映画化されたものがあったと思うんだけど……ホラ深津絵里さんが出てきた……」という女性の会話が聞こえてきた。「それは『薔薇の殺意』ですよ」と口から出かかったのをようやくこらえた。そんなことを言ったら若い女性にたいそう嫌われるという「美術館おじさん」になってしまうではないか。でもそのとき会場にいた多くの人が「それは『薔薇の殺意』ですよ」と心の中でつっこんでいたことだろう。

幻影城の「殺人者の憩いの家」の挿絵に使われた村上芳正のリトグラフがなんと85,000円。安いなー。最終日までに売れていなければなんとかお金を都合して買ってしまおうかしらん。