米澤屋書店

 
 米澤穂信さんが新刊『米澤屋書店』で、わたしが昔訳した『両シチリア連隊』を紹介してくださっています。それも「詩のように美しい滅びの小説」という絶妙な評言とともに。米澤さん、ありがとうございます。この本は東京創元社の "in print"リストから消えてだいぶんになるのですが、今でもときどきこのように言及してくださる方がいて、訳者冥利に尽きると感じています。
 
 当時は担当編集者の方が相当に販促に奔走してくださり、これも嬉しい思い出です(今でも覚えているのは新宿紀伊国屋と川崎ラゾーナ内丸善のフェア)。ただ売れ行きは残念ながら東京創元社の期待には達しなかったようで、二冊目のレルネット=ホレーニア訳出の野望はいまだかなえられていません。しかしまだまだあきらめていませんよ。彼のたくさんある長篇の中にはペルッツ並みに面白いものもあるのでなんとか紹介したいものです。