ありがとうブリリア

『イヴ』初校ゲラをたった今ヤマト便に出してきたところだ。初校ゲラというと普通の人は確認あるいはバグフィックスのため見るのであろうが、拙豚にとってはここからが本番なのである。赤潮にやられた海のように真っ赤に染まるのである。関係者諸氏の迷惑は一通りではないだろうと思い、いつも頭を深くうなだれる。

そんなわけで昨日から今日にかけてヒーヒー言ってたのだが、ここでリフレッシュ源となってくれたのが、ツイッターのトレンドに突如あがってきた「ブリリア」なる言葉である。いやもう笑ったのなんの。おかげでゲラの直しも快調に進んだ。ありがとうブリリア! 君の恩は忘れないよ!

さてここからは真面目な話だが、ブリリアなるマンションが難を逃れられたのは、まさしく「ブリリア」なる名前のせいなのである。この名は悪魔を近づけない名なのだ。嘘ではない。田中克彦の『名前と人間』という本にはこう ↓ 書いてある。

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たしかに「ブリリア」ではどんな悪魔だって近づく気になれないだろうし、たいへん健康で活発なイメージがある。探偵作家でいえば、ハーバート・ブリーンなど悪魔を近づけそうにない逞しい名だ。あと関係ないけどキャベルの奥さんの名はプリシラである。いや本当に関係ないのだけれど。

話は急に変わるが、「~だわ」「~ね」「~なのよ」みたいな女性言葉は、現実にはそんな話し方をしている人がたくさんいるにもかかわらず、翻訳に使うとなんとなく不自然になる。これまでは必要悪と割り切っていたのだが、今度の『イヴ』の翻訳では、思うところがあって、いっさいそういう女性言葉は使わないことにした(ついでに「彼女」という代名詞もいっさい使わないことにした)。

おかげで女性が大勢出てくるのに、全体的にたいそうガサツな感じになった。『イヴ』は本当はエロチックな話なのかもしれないが、拙訳ではまったくそうではない。これの当否は読者諸賢にご判断願いたいと思う。