クリムゾンatうどん県


何を血迷ったかフリップ御大、我が故郷のうどん県まで来てくださるという。これはぜひお出迎え申し上げねば! ということで行ってまいりました。ちなみにチケットは前日でも楽勝で手に入りました。うどん県ならではの鷹揚さであります。

ステージは三台のドラムキットが前面に並び、他のメンバーは後ろに控えるという、さながら打楽器がメインみたいな配置でしたが、その印象はけして間違いではありませんでした。本日最大の聞き物は何といっても三人の打楽器アンサンブルでありましょう。三人の奏者で目立ってたのはパット・マステロット。いろんな変な楽器を持ち出しては、変な表情をしながら変な音を出すかと思えば ほとんど気まぐれのように猫パンチ的な凄いシンバル打ちを繰り出すのです。マステロットってこういう人だったのか! もしかしてジェイミー・ミュアより変人なのでは?

曲目はのっけから打楽器大活躍の「太陽と戦慄パート1」で会場は大沸き。「ピクチャーズ・イン・ザ・シティ」を挟んで次の「平和/終章」では、ジャコ・ジャクスジクが歌詞を日本語訳で朗々と歌い上げます。クラシック編集企画盤さえ「平和」は偏向しているからNGと自粛する時代に、まことにあっぱれな挑発ぶりであります。

フリップ御大のギターは、「ふょーん」みたいな感じの、この人にしか出せない宇宙的郷愁をそそるもので、「ああ来てよかった!」としみじみ思わせるものがあります。なかんずく「イージー・マネー」間奏部でのキーボードとのアンビエントな絡みは、まさにフリップ&イーノ再来!という感じの鳥肌もの。「スターレス」の長々続くリフは前半はジャクスジクが担当し、途中でフリップに引き継ぎましたが、やはりどこか違います。

メル・コリンズ先生は激烈な打楽器隊の応酬を尻目に終始マイペース。のっけから「太陽と戦慄パート1」のアドリブで空気を読まない(?)「君が代」のメロディーを挿入し、その他にも随所で懐メロ的というかアースバウンド的なアドリブフレーズを吹きまくっておりました。なかでも「レッド」冒頭の何ともリラックスした吹き方は長く記憶に残ることでありましょう。
でもさすがにただの人ではありません。最後の最後になってから物凄い本領を発揮してきました。最終曲の「スターレス」それからアンコールの「クリムゾン・キングの宮殿」と「21世紀の精神異常者」は、この人の独擅場といってもほとんど過言ではありませんでした。