クラニーの浸透と拡散


本の雑誌7月号を開いて少しのけぞる。「クラニーファンが絶賛する書き下ろしシリーズはこれだ!」と題する小コラムがあったのだ。ううむ、知らないあいだに「クラニー」という呼称が注釈抜きで通用する時代になっていたのか〜。時代は勝手にどんどん進んで行くものですね〜。「殿下」とか「藍たん」とかもそのうち普通に商業出版物に登場するようになるのだろうか。ちなみに小料理のどか屋人情帖シリーズは、「料理のうんちくもよだれ滂沱もの。ネコ好きにはたまらない看板猫"のどか"もお忘れなく!」とのことです。

同じ号で矢口誠氏が『探偵ダゴベルトの功績と冒険』を評してくださっている。「ここまで時代を遡るともはやコテンコテンな古典であり、『歴史的価値はあっても、いま読んでも面白いわけじゃない』ってことが往々にしてあるものだが、これは一切の保留なく面白い」という評言がうれしい。何を隠そう、これを訳していたときの最大の苦心は、この「一切の保留なく面白」く読んでもらう、たとえば日常的にマンガを読んでいる人にも面白く読んでもらうというところにあったから。これは実に訳者冥利につきる言葉だ。矢口さん、ありがとうございます!