緑衣の鬼

ミステリーズ! vol.51

ミステリーズ! vol.51


今号の「ミステリーズ!」はドイツミステリ特集というので勇んで買って帰る。でも特集の前に各所で話題の、某氏が拉致されたとかいう「レイコの部屋」を読む。なんでも全身緑色の服装で東京創元社に来た人がいるそうだ。東京創元社には拙豚も一月前くらいにお邪魔したのだけれども、こんなコーナーがあると知っていたら、もっと変な格好で行くんだったと反省しきり。たとえば全身に懐中時計をぶらさげて行くとか……。「一月半ばにクリスマスプレゼントを下げていった男」ではちょっとインパクトが弱かったかもしれない。

あと、すぐ近くにブックオフがあったのだけど、さすがに完膚なきまでに荒らされているようで、あんなに何も買うものがないブックオフというのははじめて見た。

で、肝心の特集は、やはり本の雑誌クラニー特集と同じで、特集というにはこじんまりしすぎているようだ。座談会で、「ドイツにはホラーというジャンルがない」と言っていたけれど、これは必ずしもそうではないような気がする。何年か前拙豚がミュンヘンのHugendubelに行ったときには、"Mystery"というコーナーがちゃんとあった。 
ここで注意が必要なのだけれど、日本の「ミステリ」とドイツの"Mystery"はジャンルとしては別物である。日本の「ミステリ」 にあたるジャンルはドイツでは"Krimi"という。ドイツの"Mystery"は、おおざっぱにいえば「超自然的な娯楽小説」みたいな感じ。つまりより"Mystery"の原義に近いわけだ。

ミステリがまともな本あつかいされていないというのは本当にそうで、たとえば古本屋の場合でも、店のなかで売っているというのは見たことがない(もちろん専門店の場合は別)。たいてい表の雨ざらしの均一台に十把一からげにされて積み重なっている。これはSFも同じだ。