Lament for a maker

ゆみに町ガイドブック

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あるいはウィリアム・ダンバーにならって、makersと複数にしたほうがいいかもしれない。なぜならここには詩を求める作家と、それから橋やモノレールを作ったり消したりしている人と、二人の「作る人」がいるから。
"Lament for a maker"に『ある詩人への挽歌』という訳題があてられているように、詩人とは"maker"、すなわち「(いままでなかったものを)作る人」であり、詩は「新たに作られたいままでなかったもの」である。ボルヘスの詩文集『創造者』は原題を"El Hacedor"というが、これも"the maker"のスペイン語への直訳で詩人のことを指す。

ところで第五次元では、「ある」と「ない」のあいだが自由に往還できるという。ちょうど四次元で時間が自由に往還できるように。すると五次元において詩人=makerの役割はどうなるのか。「ある」と「ない」の区別が失われた以上、makerの役割も失われるのだろうか。
たぶんそうではない。作る人が作成したものによって、その作る人が作られるような、主客が逆転しうる、あるいはその区別のない世界なのだろう。おそらくは「円環の廃墟」などでボルヘスの夢見た世界とそれほど隔たってはいないはずだ。