『剣の八』

引き続きビオイの日記より

1969年8月9日(土)
 ボルヘスとペイロウとともに家で食事。ボルヘス「ディクスン・カーの『剣の八』を読んだ。これほど博学で創意があって繊細な作家がアルゼンチンの文壇にいるとは思えない。にもかかわらずイギリス文壇でディクスン・カーは何者かというと何者でもない。ものの数にも入っていないのだ」

こうしてもっともらしい顔をして毎日ビオイの日記を紹介しているけれど、実はスペイン語はほとんどできない。もっともボ氏の文章さえ読めればスペイン語なんてできなくても一向にかまわないのだけれど。

それにしても上の日記の訳は我ながら疑惑の渦である。『死者はよみがえる』や『ユダの窓』ならともかく『剣の八』とは??? どこがそんなに気に入ったのだろうか。