ダゴベルト失敗の巻


念のためメールを確認してみたらやはり締め切りは10月末だった。だから安心してダゴベルトを読んでいる。ハンガリーの田舎に古城があった。その城に住む女領主はかなりの高齢なのだが、ずっと独身のままでいる。そして妙なことに、子供の頃の乳母をいまだに手元から放さない。ダゴベルトはその女領主が偽者、つまり先領主の本当の跡継ぎではないと考え、調査のためその地に赴く。

しかし領主に近づく手蔓が見つからない。ダゴベルトの疑いには裏付けがなく、推測の域を出ないので、いきなり「頼もう!」といって城に押しかけるのは作戦上うまくない。はてどうしたものか……、と考えつつ日を送っていたある日、現地で親しくなった男から猪狩りの誘いを受けた。
腕に覚えがあるダゴベルトは受けてたった。猟場に着くとさすがは蛮地ハンガリー、鯨くらいの大きさの猪が出てきた(嘘。原文には鯨とは書いてない、というか知らない単語だ。でもたぶん「鯨」ではないと思う……もしかしたら「象」か?)。だがダゴベルトはなんとか仕留める。嬉しさのあまりダゴベルトは駆り出し係の男に多額のチップをはずんだ。
しかし仕留めた猪を調べてみると弾痕はダゴベルトがいた位置の反対側にあるではないか。つまりダゴベルトの弾は逸れ、本当に猪を仕留めたのは一緒に狩りをしていた現地の男だったのだ。

この失敗談は、田舎のこととて、あっという間にそこら中に広まり、ダゴベルトは皆の笑い者になった。なにしろ、自分が仕留めたわけでもないのに、半年も暮らしていけようかという位の多額のチップを駆り出し係にやったのだから。
とうとう噂は城にまで伝わり、それほどのお大尽ならぜひお会いしなければいけませんねということで、ダゴベルトは城から招待を受けた。棚からボタ餅式に、女領主と対決するチャンスが巡ってきたのだ!……これはもはやミステリじゃなくてこれは伝奇小説ですね。この偶然の使い方とかは。でも読者を楽しませる筋運びがうまく、けしてご都合主義という感じはしません。