御礼


巽昌章さんが『ヴァルミュラーの館』の感想を寄せてくださいました。おお、お読みいただきありがとうございます。
日夏耿之介が「高野聖」をバルベー・ドールヴィイと比較した論を受けて、澁澤龍彦が「それちゃう。鏡花はドールヴィイよりむしろホフマン(大意)」と書いてましたが、やはりこういった身にしみる段取り部分の語りは怪談大国である日本とドイツの独擅場でありましょう。
作者のツァーンという人は本業は精神科医で、怪談はどちらかといえば余技でした。それなのに、「眉かくしの霊」ばりにとりとめもなく話を進めながらも、ちゃんと恐ろしい世界に読者を誘っていくところに伝統の厚みを感じます。