家庭内暴力より恐い家庭内編集長

えっ、編集長じゃなくてプロデューサー? まあそれはともかく、昨日の文学フリマの打ち上げで、ゼラチン状のものが話題になった。「確かに目撃した」と熱く語る人もその場にいたのだが、結局確認はならず、なんとなくうやむやになってしまった。

佐野史郎「曇天の穴」によると、そのゼラチン状のものは泉から出てくるようだ。

…それが証拠には水面は全くもって煌(きらめ)かず、それどころか、湖の右方では波と全く違った形で水そのものが数十メートルの高さにまで隆起し、辛うじてその先端が波の形を形作っている故湖の一部と認識されるが、その紫色のゼリー状のぬめりといい、緩やかな揺らぎといい明らかに意志を持った何者かだと直感させたこの光景は陽の光によって現われる陰影とはまるで逆さまなのだ。 (『クトゥルー怪異録』pp.8-9)

こういうときに頼りになるのは、なんといっても『クトゥルー神話事典 (学研M文庫)』である。こころみにパラパラめくると、ほらほらちゃんと載っている。――「ウボ=サトゥラ:誕生まもない地球の蒸気発する沼に横たわり、頭も手足も臓器もない無定形の巨体から生命の原型である単細胞生物を生み出している。地球の生物はすべて大いなる輪廻の果てに、この神性のもとに帰するという」

妹がいるという説もある。これはさすがの神話事典にも書いていない。