実地検分?

 
なお読書中。いま五人目の犠牲者が登場したところ。

犯行現場に規則的に並ぶ赤と青、それから寄り集まったり点在したりする黄色の正体はなんとなく分った。でも肝心の小窓の謎が解けない。「あの窓の役割が何か気づいたら、おそらくすべての構造がわかることでしょう」と、文中で真正面から挑戦がなされている、その窓の役割が皆目分らない……。

かくなるうえは、少々卑怯かもしれないが、実地検分しかない。

わが推理、というか山勘が正しければ、下北沢の白樺書院から、踏切りを背にして少し歩いたところに、作中の館の犯行現場と同じ構造を持つ場所がある。もう何年も行ってないけれども。

あそこに行けば少なくともダイイングメッセージ(?)の「ロリン」の意味は確認できる。そこに小窓があったかどうかまでは覚えていないけれど、もしあったら、重大なヒントになるに違いない。

と思って今晩わざわざ行ってみた。頭脳明敏でないものにとっては、フレンチ警部や鬼貫警部のように足を使うこともまた大切であるから。

ところが! ああなんということだろう!!

肝心の場所は閉鎖されていて中に入れなかった。もちろん、小窓があるかないかなぞ確認できようはずもない。表の扉には張り紙が一枚、「十三日からしばらく休みます」と書いてあった。

十三日っていつの十三日なのだろう? 張り紙の古さからみて、先月や先々月の十三日ではないような気がする……。まるで重要な目撃者が見つかったとたんに、犯人に先回りされて殺されたような感じだ。

かくて現場検証の試みも空しく、推理はまた振り出しに戻ってしまったのだった。