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- 作者: 柴田宵曲
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2008/09/10
- メディア: 文庫
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『奇談異聞辞典』は小蛇が昇天したところまで。まだまだ先は長い。
いままで読んだ中で一番情けないエピソード。和泉の国(今の大阪府南部)にあった桑原の井戸の話。
土人いわく、昔、この井に雷落ちけり。井より上らんとする処を、人寄集り、井の上に蓋を覆うて、雷を責ることやや久し。雷、大いに苦しんでいわく、永くこの地に落る事なしといひければ、蓋をとりてゆるしやりぬ。それよりこの地に雷落ることなし。雷鳴の時、桑原々々といふも、これによるとぞ。
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ここでちょっと疑問なのは、この長々と責められたあげく許してもらった雷はどんな格好をしていたのかだ。今年の夏は雷がやたらに落ちたけれど、あの雷とこのエピソードにある雷は同じものだろうか。もしかしたら太鼓をたくさん持って虎皮のパンツはいた鬼みたいなのかな、とも思ったけれどどうやらそうでもないらしい。肥前国(今の佐賀県と長崎県)の出来事としてこんな話があるからだ:
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此処三四月の頃に雷狩と云ふこと有り。その雷と称する者は、その形白雲の如くして、大きさ鞠の程なる円かなるものなり。
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なんと怪体なものではないか。むかしはこんなのがフワフワ飛んでたのか。