グレー・グレー

 
ゴセシケがトラウマになってますという話はSF系サイトをたどればあちこちで目にするが、ほんとうにあの小説はすごかった。県立図書館で立ち読みをはじめたら止められなくなり、おしまいまで読みきってボッーっとなって家に帰ったような記憶がある。

それから40年もたって、二代目ゴセシケともいえる作品にめぐりあうとは、これを奇遇といわずしてなんというべきか、しかも「文學界」というようなお堅い雑誌で。

世にゾンビものは数あれど、主人公のカップルのラストシーンが、ゴセシケに匹敵するなんともいえぬ余韻をもたらすのは他に例を知らない。純文学というより50年代SFの最良の継承の一つではないか。

願わくば現役の小学生の方々にも読んでいただき、新たなるトラウマの種を育ててほしいものだ。