『クラシック・ミステリのススメ』 


すでにあちこちで報じられているとおり、いろいろ紆余曲折はありましたが、ようやく『クラシック・ミステリのススメ 上巻』が4/10発刊の運びとなりました。入手方法などは公式サイトをご覧ください。

スタッフ一同の気合が入りすぎ、たいそう大きな本になってしまった。なにしろ縦の寸法はLPレコードのジャケットくらいあって、『マイアミ沖殺人事件』の元版より3.5cmほど高い。それでいて本文8.5ポイントなのだから、情報量の濃さたるや推して知るべし。

内容から言えば2000円くらいの値段はつけて当然だけれども、『幻影城の時代』のときと同じく、致死量スレスレの出血価格になる予定。もともと小部数同人出版でありますので、ヤフオクでボロ儲けなどなさいませぬよう、なにとぞよろしくお願いいたします。

表紙デザインは創元推理文庫シャーロック・ホームズ(松田正久バージョン)の線を狙ったつもりですが、うまくいってるかどうかは刷り上ってみないとわからない。ちょっとドキドキ。

それにつけてもうらやましいのは、ミステリ愛好者の層の厚さだ。レビュアーの中にはプロやセミプロに混じって、現役大学生の方も何人かいるのだが、彼らの鑑賞眼の確かさには敬服あるのみ。論創社とか長崎出版の健闘は、こういう層に支えられているのですね。

本の中でもっとも物議をかもしそうなのはミシュラン方式による巻末の各作品お勧め度一覧。私の記憶が正しければ、この本のタイトルは『クラシック・ミステリのススメ』のはずなのだが、★一つ(つまらん!)とか★二つ(100円なら買ってもいい)とか、オススメされているとは言いがたい本もたくさんある。こういうのを見るにつけ、一冊の本に対する評価はほんとうに人さまざまだと思う。やはりミステリに限らず本というものは、人の評価は参考程度にとどめておいて、自分の目で確かめてみるのが一番だ。

あと、仁賀克雄先生は人気あるな〜といまさらのように思った。仁賀訳作品のレビューでは直接的であれ間接的であれなんらかの形で先生に言及されているし、訳者が仁賀先生でなければ★の数が二つか三つ違ったであろう作品さえある。今後ますますのご活躍ご発展を願ってやみません。(4/1記)