もうひとつの人外魔境

 
コリアの「宵待草」は(あの名作、白倉由美の「デパートのアリス」と同じく) デパートに棲みつく人々の話であったが、コリアの時代よずっと複雑化している現代都市には、デパートと言わず、至る所に人の住み着ける場所がある。

しかし当然にして、そんな人外魔境に棲息しているのは普通の意味の人間ではない。颯爽とそれら異人類を探索にいくのは折竹孫七ならぬ文化人類学者柴門博士とその助手の吉元嬢。

「穴居人」「盲点人」「無人島人」という「〇〇人」尽くしの章立てからしてまるっきり「人外魔境」で、もうそれだけでワクワクしますよ。独特のアンチクライマックスも本家「人外魔境」を思わせる、なかなか拾い物の一冊だった。