「それも心々ですさかい」

“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫)

“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫)

 
浦賀和宏ユヤタンにも劣らぬ鬱展開サーガで読者を愉しませてきた「文学少女」シリーズも次作で大団円を迎えるという。悲しいことだが、これだけ伏線(と思われるもの)を張り巡らせていれば、あとは終わるべきところに収束するしかないのだろう。

このシリーズは毎回文学作品がテーマになっていた。これまでの五作でいえば、順に「人間失格」・「嵐が丘」・「友情」・「オペラ座の怪人」・「銀河鉄道の夜」である。それなら最終回のネタは何だろう? いままでは和ものと洋ものが交互に来ていたので、今度は洋ものの番ではあるのだが。
……でもあえて予言しよう。最終回を飾るのはこの人だと:
 

 
なぜって、「何を食べても味がしない」というヒロインはまさに三島そのままではないか。作品でいうなら本命は「仮面の告白」、対抗は「金閣寺」であろうが、ここはひとつ、かの「豊饒の海」に倣って最終部は全4巻で完結してほしいものだ。