魔女の鍋

世界文学あらすじ大事典〈4〉

世界文学あらすじ大事典〈4〉

  • 発売日: 2007/06/01
  • メディア: 大型本
 
あらすじ大事典もぶじ完結したようでめでたい。拙豚の町の図書館は幸いにしてこの種のレファレンスには理解があるので自分で買わずにすんだ。でも懐に余裕のある人は買っておいて損はないと思う。あの本とかあの本とか、かつて出た良質のレファレンス本が今では気の遠くなるような値段をつけているのだから、そう遠くない将来、「あらすじ大事典が一万八千円で買えたなんて昔はよかったなあ・・・・・・」とため息をつく時がやってくるのはほぼ確実だ。

そういうわけで退屈な日曜の午後などにつらつらと読むでもなく読まぬでもなくページをめくっていると、やはり世の中にはあらすじの似合う小説と似合わない小説があるのにいまさらのように気付く。石堂藍さんという魔女の鍋でぐつぐつぐつぐつ何時間も煮られると大抵の小説は肉と骨とが分離して(あああ可哀想に!)、美しい骨格を日のもとにさらすことになるのだが、やはりその分離が、いさぎよいものと未練がましいものがある。

ではいさぎよいものとは何かというとそれは幻想文学と呼ばれるたぐいの小説である。これはたぶんその淵源が、いわゆる一般小説よりもずっと古いところにあるからだろうと思う。水を汲んでくる泉が、一般小説よりもはるかに古いのだ。

だから、肉は闇に溶け骨格だけが後に残ることだって別にめずらしくないのだ。骨は百年もたつとまた新しい肉をまとうようになるだろうし、闇に溶けたはずの肉だって、知らぬうちに別の骨に憑依してるかもしれないではないか。
 
 
 
[6/30付記]
「****の高いやつは往々にして****が低く、そのくせ****傾向がある」とあるのを読んで、「そりゃ*****?」と思ったのは絶対内緒のは