『書評 2238年6月』

装幀のヒントになるような本はないかと書棚を漁っていたらインゼル年鑑のレム特集号が出てきた。三十年くらい前に発行された本だ。フランツ・ロッテンシュタイナーやダルコ・スーヴィンなどいかにものメンバーに混ざってジークフリート・レンツなんて人も寄稿している。あの『遺失物管理所 (新潮クレスト・ブックス)』の作者だ。ああいうリアリズム命の人でもレムを読むのだろうか。ちらと読んでみたけど文章が難しくて、とりえあず絶賛してることしか分からなかった。

マイクル・カンデル(以前も書いたがアメリカにおけるレム翻訳者)のエッセイが面白い。『書評 2238年6月』というタイトルで、その年の第一四半期に出版されたレム研究書三冊をレビューしている。言うまでもなく『完全な真空 (文学の冒険シリーズ)』のオマージュを兼ねたレム論である。レビューの大部分でアツコ・コバヤシなる人の書いた『作家レム』なる研究書が論評されている。ぬぬぬこれはぜひ紹介したいが・・・