鏡餅礼賛

でぶ大全

でぶ大全

「乳房」「悪食」「おなら」「うんち」と続いてきたロミ/フェクサス大全シリーズの最新刊。図版の裁ち切り、下世話なコラムの挿入、特殊紙を使ったグラビア紛いのタイトルページ、金色の花切れなどなど、あいかわらずのキッチュな造本が嬉しい。大昔の少年マガジンの巻頭グラビアをちょっと連想させたりもする。
同性愛者の書いたある種の本には、自分が同性愛者でないこと、平々凡々なノーマルな人間であることを恥ずかしく思わしめるものがあるが、この本も似た効果を持っている。一読して感じるのは、デブこそがまっとうな人間のありかたであって、ダイエットなどというのは何か非常に変態的な行為なのではないかということだ。かくいう拙豚も、一時83キロあった体重を医者に言われて10キロ以上落としたが、もしかしたらあの行為は間違っていたのではなかったろうか。実際、過去の偉人たちは誰も彼もデブだった。ルイ14世、ナポレオン、エドワード・ギボン、テオフィル・ゴーチェ、デュマ、オスカー・ワイルドパラケルスス……。