ぶたマン――洋上殺人事件

 

ぶたマン―洋上殺人物語

ぶたマン―洋上殺人物語

人文書院から変な本が出た。作者ヴィルヘルム・ラーベ(1831-1910)は19世紀ドイツの文豪。日本では「雀横丁年代記」という長編が昔から岩波文庫に入っていて、たぶん一部では有名だと思う。洋上殺人事件と副題にはあるが、これをミステリと呼ぶのはちょっと苦しい。だいいち本当に洋上で殺人は起きているのか?*1 解説によれば、原題Stopfkuchenはドイツのお菓子の名で、これは日本だと豚まんに相当するから、「ぶたマン」と訳したのだそうだ……(あと主人公の友人がデブであることも掛けてある)……でもこれってユーモア小説じゃないのでは……。まあ、「雀横丁年代記」や「ライラックの花」*2で作者ラーベを知っている人には驚愕するような文体であり内容であることは間違いない。
 

*1:副題を直訳すると「海と殺人の物語」

*2:ISBN:4947632151。アンジェロ・マリア・リペリーノが「魔術的プラハ」ISBN:0330337793れて紹介しているロマンチックな好中篇である。