星の夜vol.12〜Luna Implens〜

ということで今晩は黒百合姉妹のコンサートでした。おりしも満月の前日(十四夜)でLuna Implensは「満ちる月」という意味だそうです(MCでJuriさんが教えてくれた)。JuriさんはまたMCで「月があるから生きていける。月があるから音楽がやれる」という意味のことを言ってました。

宵の口に街を歩いていると、ダイエーとか西友とか、そこらの建物のあいだから、ふいに月が顔を見せることがあります。そんなときにいつも感じるのはとてつもない違和感です。あの月は原始そのもので、周りのどの風景とも似合わない。小林泰三さんの中編『奇憶』がこの感覚をうまく表現していたと思います。

黒百合姉妹の音を「天上的」と評する人もいますがそれは微妙に違っていて、あれはやはり月の音楽、J.B.キャベルのあの中編と類縁のものを感じます。コンサートは第二部の中盤からラストに向けての盛り上がりが圧巻でした。あの迫力だけはCDの中に閉じ込めるのは不可能で、実際に会場まで足を運ばなければ体験できないと思います。