『密室ロジック』(氷川透)

Web上である種評判のようなので、尻馬に乗って読んでみた。

おそらく、このミステリはこの一冊では完結していない。続編があるのではないかと思う。ちょうど乱歩賞応募時の「虚無への供物」のように。なぜなら「犯人はいつ部屋に入っていつ出たか」という肝心な謎が解明されていないし(いやしくも「密室もの」と名うつなら、その解明は避けて通れないはずである。)、回収されてない伏線や検討されてない事項もいくつかあるから。

したがって、本書の最後で指摘された「犯人」も真の犯人ではないであろう。では真犯人は誰か? 拙豚の豚カツ色の脳細胞によれば、それは本書p.155下段で名指された人物である。なぜって、作中の氷川がp.155で言うように、その人こそが、犯行現場に誰からも見られずに出入りできた唯一の人物であるから。

もっとも、氷川は、その人物は「ある事実」を知らなかったはずなので、犯人ではありえないと推理している。しかし、その人物が「ある事実」を知らないということは、作中では証明されていない。犯人と被害者が事件以前に何らかの形で接触していれば、その情報を入手する機会はあったはずだ。