2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

日本男児ここにあり

盛林堂ミステリアス文庫の新刊は渡辺啓助。この前皆進社から出た『空気男爵』がやや期待外れだったので、今度の啓助はどうだろうとおそるおそるページをめくってみた。だがこれは大当たりだった。まだ最初の二篇を読んだだけだが、めっぽう面白い。短い枚数…

実在したケルト・ルネサンス様式

黒死館附属幻稚園の新刊がすばらしい。今回の文学フリマで出たマーガレット・オリファント『秘密の部屋』である。これも黒死館研究史に新たな一歩をしるすものだと思う。『黒死館殺人事件』の舞台、黒死館の建築様式は「ケルト・ルネサンス式」であるらしい…

文学フリマ御礼とおわび

昨日の文学フリマでは大勢の方に来ていただきありがとうございました。一月の文学フリマ京都では5部、二月の文学フリマ広島では1部しか新刊が売れなかったので、たかをくくって15部くらいしか作って行かなかったところ、予想を上回る方に来ていただき、40…

明後日は文学フリマ

ということで明後日は文学フリマですが、おかげさまでなんとか新刊が出せそうな雲行きです。それから商業刊行物で現在品切増刷未定のものも何冊か持っていきます。それから矢野目源一の『ゆりかご』が、あと3~40部くらい探せば在庫があるはずなので、見つか…

仙台はいい町だ

『本の雑誌』六月号の掲載図書索引をながめていたら「テュルリュパン」の文字が。すわ何事かと該当ページを開くと、佐藤厚志氏が「図書カード三万円使い放題」でこの本を選んでくださっていた。ありがとうございます。佐藤氏によれば氏の勤務先丸善仙台アエ…

ヴィヨンと皇帝ネロ

ヴィヨンといえばこの機会に大々的に宣伝したいのですが、拙訳『イヴのことを少し』にもヴィヨンは出てくるのですよ。しかもあの皇帝ネロと友だちでいっしょに旅しているのです。文字通りの悪友ですね。悪者でありながらどちらも文学に憑かれていた二人をペ…

中世フランス詩という魔笛

毎度お騒がせの国書刊行会がまたまたすごいものを出した。宮下志朗氏の翻訳・註解による『ヴィヨン全詩集』である。問題の国書税も『マルセル・シュオッブ全集』などに比べればだいぶ手加減してくれているのがありがたい。日本国も国書に倣って減税をしてく…

浜辺のポウイス

うみの図書館近くで開かれた海辺ブックフェスをのぞいてきました。絶好の連休日和に恵まれてものすごい盛況でした。浜辺沿いにずらりと並ぶ古本出店。振り返って海に目を向けると子供たちが波と戯れています。裸足で浅瀬にジャブジャブと入って砂浜近くに流…

闇に一条の光

日本翻訳大賞のツィッターが寄付を募っていた(詳しくはここをクリック)。「かなり苦しい状態ではあります」とのことだ。義を見てせざるは勇無きなり。さっそく雀の涙ではあるが寄付金を振り込んできた。「途中でやめたら承知せんぞ」という圧を関係者が感…

恋二題

「恋二題」は乱歩の最初期の作品で、二つの短篇「恋二題(その一)」「恋二題(その二)」からなっている。これらはのちにそれぞれ「日記帳」「算盤が恋を語る話」と改題されて単行本におさめられた。この二篇や「恐ろしき錯誤」「疑惑」などのいわばサイコ…