2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

平井呈一と吉野家コピペ

今回の『迷いの谷 平井呈一怪談翻訳集成』には、平井呈一の推理小説関連のエッセイがまとまって収録されている。平井が推理小説について語った文章はおそらくこれで全部ではあるまいか。解説では書く余裕がなかったがこれも今回の集成の目玉であろうと思う。…

とほい空でぴすとるが鳴る

また佐野洋を読みました。例によって「佐野洋のどこがそんなにいいんだ」というようなクレームは却下です。さて今回は『十年物語』という短篇集。1997年に文庫オリジナルで出た本です。ですから晩年の作といっていいでしょう。「とほい空でぴすとるが鳴る」…

『腿太郎伝説』を読んでしまった

サイン本が乱れ飛んでいるとかいう世紀のウルトラ大怪作『腿太郎伝説』。ついに読んでしまいましたよ。今の気分は「どうだ……読んでしまったか」と正木博士に話しかけられた呉一郎です。キャラがメインか? 漫才がメインか? ストーリーがメインか? というく…

ピアノは打楽器

昨日書いたようなわけで、近ごろは荻窪ミニヨンにしげしげと通っていて、あたかも仕事場のようになっています。ここは名曲喫茶としてはルールがゆるくて、パソコンを打っていても怒られないし、会話も普通の声ならOKです。ただし携帯電話はだめ。しかしその…

いま訳しているもの

いま翻訳しているものを村上春樹風にいえば、「世界の終わりとクラシック音楽・ワンダーランド」みたいな感じになるかもしれません。荻窪の名曲喫茶「ミニヨン」にひんぱんに通っては作中に出てくる曲をリクエストし、訳をチェックし、あわせて作中の雰囲気…

セルビアの星新一

盛林堂ミステリアス文庫から渦巻栗氏の訳でゾラン・ジヴコヴィチ『図書館』が出ました。こいつはすばらしい! ゾラン、ゾラン、ゾラ~ン、はるかな宇宙か~ら~——いやなんでもありません。一読して驚くのは星新一そっくりなことです。それも後期星新一、つま…