2011-01-01から1年間の記事一覧

世界に羽ばたく十戒

きのう言及した「阪本英明の十戒」はなんと中国語訳もされていた。もちろん知名度ではヴァン・ダインやノックスに劣るだろうけれども、この十戒は予想した以上にインターナショナルなようだ。ちなみに中国語だとこんな風に言うらしい。(第三条はもしかして…

人みな戒律を負う

古くはヴァン・ダインやノックスの時代から、新しくは阪本英明にいたるまで、何人ものミステリ作家が戒律を定めてきた。批評家ならいざしらず、なぜ実作者が、このような自分で自分を縛るようなことをするのだろう。ミステリ作家というのは一種の変態性を有…

新版ボ氏書評集に向けて

というわけで、ボ氏書評集の改訂版に着手。冬の祭典までに完成させることを目標としたい。できれば印刷所で印刷したいが、間に合わなければ徹夜で手製本を作成でもやむをえない。さいわいにして祭典の翌日は休みだから、少々無理をしてもなんとかなるだろう…

いつのまにか/だまされてしまう

何をかくそう、佐野洋が大好きだ。もしかしたら鮎川哲也や都筑道夫より好きかもしれない。鮎川哲也や都筑道夫と佐野洋の差、それはネクタイを締めているかどうかにある。いや、リアル佐野氏がネクタイを締めているかどうかということではなくて、作品の雰囲…

ボ氏

* 誰だったかの小説で、ボードレールのことを「ボ氏」と書いてあったのを見たことがある。「君は、ボオドレエルを掴むつもりで、ボ氏の作品中の人物を、両眼充血させて追いかけていたようだ。」……こんな文章をいまでも覚えているのは恥以外の何ものでもない…

赤き死の消人栓

「消人栓」と称せられる栓はすでに国内の数箇所で見出されているようだが、なかでも専修大学に程近いこの建物の栓はもっとも禍々しいものと伝えられている。なんとなれば、他の消人栓は偶然に生まれたのだが、ここの消人栓は明らかに人の手で、それもおそら…

文フリ御礼

* 今回は餃子にもカラオケにも行かず直帰。 強力無比の女性売り子のおかげもあって、純粋新刊なしにしては驚異的な売り上げでした。買っていただきました皆様どうもありがとう! * あと、売り切れアイテム続出で申し訳ありません! 今回の売り切れ分は増強…

文学フリマ

* おお気がつけば、もう明日は文学フリマではないですか。今回はダゴベルトにかまけていて新刊は出ませんが、去年の倍のスペースを占拠していろいろ並べる予定です。 場所が今回から違うのでご注意ください。会場への行き方はこちらをご覧ください。 * と…

ダゴちがい

*箱ちがい (ミステリーの本棚)作者: ロバート・ルイススティーヴンスン,ロイドオズボーン,Robert Louis Stevenson,Lloyd Osbourne,千葉康樹出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2000/09/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (7…

趣味じゃないんだ

*シュミじゃないんだ作者: 三浦しをん出版社/メーカー: 新書館発売日: 2006/10/01メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 44回この商品を含むブログ (129件) を見る* まだダゴベルトを読んでいる。ダゴベルトの親友グルムバッハがウィーン最上のクラブ、「産…

最初に「誰得」と言った人

* ちかごろ誰得という言葉をときどき目にする。誰得動画とか、誰得ダジャレとか……。この「誰得」にあたるフレーズは英語でもフランス語でもドイツ語でも同じで、"cui bono?"という。 これはもともとラテン語で、紀元前にキケロという人がはじめて言ったそう…

NTR危機一髪

* まだダゴベルトを読んでいる。ダゴベルトは美食と怠惰がたたって医師から健康的な生活を命ぜられた。そこで田舎に来てぶらぶらしていたが、果物市場に美しい娘がいるのに目をとめて、足しげく通っては果物を買うようになった。だがダゴベルトが何を話しか…

ダゴベルト失敗の巻

* 念のためメールを確認してみたらやはり締め切りは10月末だった。だから安心してダゴベルトを読んでいる。ハンガリーの田舎に古城があった。その城に住む女領主はかなりの高齢なのだが、ずっと独身のままでいる。そして妙なことに、子供の頃の乳母をいまだ…

恐喝者もへまをする

* まだダゴベルトを読んでいる。青年男爵フリーゼは、妻が避暑に出かけてしまい、夏のウィーンでひとり退屈をもてあましていた。 ある夜彼は悪友に誘われて芝居小屋に行き、勢いで踊り子の一人でロシアの女侯爵と称するフェオドロヴナと夜明けまで酒盛りを…

プレ『9マイルは遠すぎる』

*どくとるマンボウ昆虫記 (新潮文庫)作者: 北杜夫出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1966/06/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (13件) を見る* 昆虫少年であったためもあって、最初に読んだ北杜夫は『どくとるマンボウ昆虫記』…

母のんきだね〜

NHKにようこそ! (2) (角川コミックス・エース)作者:大岩 ケンヂ,滝本 竜彦発売日: 2004/11/26メディア: コミック まだダゴベルトを読んでいる。ダゴベルトが社外取締役を務める銀行から、会計係のヨーゼフ・ベンクというものが姿をくらました。金庫からは現…

実際に来た手紙

*魔道書ネクロノミコン外伝作者: リン・カーター出版社/メーカー: 学習研究社発売日: 2011/12/20メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 2人 クリック: 147回この商品を含むブログ (5件) を見る* まだダゴベルトを読んでいる。ダゴベルトは友人から一通の…

虎狩り続報

* 昨日の日記で書いたほぶらきんの元メンバーの方のブログをみつけた。猫にしか見えない虎のジャケットもちゃんとアップされていて感無量。海外のバンドだとコカインとかのドラッグ中毒でメンバーのあいだに亀裂が入ったり演奏活動ができなくなるというのは…

謎の虎狩り

まだダゴベルトを読んでいる。ところで皆さんは「ほぶらきん」というバンドをご存知だろうか。 どうです、なかなかいかした(いかれた?)バンドではありませんか。一時は小学生がメンバーに入っていたのだが、あまりのアホらしさに「僕もうやめるわ」と言っ…

ひたすら懐かしい

少年少女昭和ミステリ美術館―表紙でみるジュニア・ミステリの世界作者:英俊, 森,宏平, 野村平凡社Amazon今日もダゴベルトを一篇読んだ。鍵穴が600個ある小箱が出てきた。エッ!と思って目をこすってよく見てもやはり600と書いてある。「白髪三千丈」式の慣用…

本格ミステリ冬の時代はあった

まずいことにまだダゴベルトを読んでいる。ある短篇にチェスタトンの「見えない人」を意識したと思えるふしがあったので、「見えない人」の初出年を調べようと検索していたら、こんなサイトにぶつかった。 ここで森下祐行氏は「本格ミステリ冬の時代はなかっ…

プチ不可能興味の喜び

* まずいことに現時点でまだダゴベルトを全部読みきっていません。レクラム文庫の字は豆粒みたいに小さいし、おまけに第一次大戦前の本だから、字体は当たり前のように亀の子文字。老眼進行中のこととて、小文字のsとf、大文字のVとBとがぱっと見てどちらか…

A los pies de Ud.

エディション・イレーヌふんどし担ぎシリーズ第三弾はエドガー・ソールタスの「太陽王女」。短いけれども、忘れがたい印象を残す佳品だ。この本はエディション・イレーヌ以前にLIMEHOUSEというところから出ていて、それを(新本で)買ったのもまた今は無き大…

パリのメコンデルタ

エディション・イレーヌ提灯持ちシリーズ第二段として、当日記の二押し(という言葉があるのかどうかは知らないが)、松本完治訳『至高の愛―アンドレ・ブルトン美文集』について語ろうと思う。 これを読む人は必ずや従来のアンドレ・ブルトン観がでんぐりか…

耽美な油虫

* 西荻窪の盛林堂書房がエディション・イレーヌの本の取り扱いを開始したらし。この出版社の本がまとまって手にとれる、おそらく都内唯一の場所ではなかろうか。すでにの去年3月の日記でお知らせしたように、この版元はなかなか厳しい状況にあるらしいので…

深夜の弁明

* ROMを主催するDozing Dog氏からメールが舞い込んできた。その内容を要約すれば、「10月末日を忘れるな!」とのこと。10月末日といえば次号ROMの原稿締め切り日。察するに、よほど原稿の集まりが悪いものと見える。 でも拙豚だって、けして怠けてい…

自転車と共に埋まる

イギリスのアトラス・プレスからジャリの決定版伝記が出るらし。450ページの大冊で、未公開の写真も多く入っているという。このアナウンスによれば「自転車に跨ったまま埋葬された」という某ブログの記事はガセネタだったらしい。まるでどこかの掲示板みたい…

山吹色の誘惑

* 何週間か前に、ミステリベストのアンケートが舞い込んできた。答えれば山吹色の何かをもらえるという。いそいそと取り組んだのは言うまでもない。 添付された候補リストを見ると、海外もので既読は40冊弱(お終いまで読まずに投げたのも含む)あった。こ…

匣の中の薔薇十字楽

好評開催中のギャラリーオキュルス渡辺温オマージュ展に、飛び入りで恐ろしい箱が置かれた模様。なんと、創元推理文庫版『アンドロギュノスの裔』をこの箱に入れると、薔薇十字社版『アンドロギュノスの裔』になるという。面妖なことではないか。魔術師妖術…

口ひげを生やした中井英夫

アンドロギュノスの裔 (渡辺温全集) (創元推理文庫)作者:渡辺 温発売日: 2011/08/31メディア: 文庫 ギャラリーオキュルスの渡辺温オマージュ展に行ってきました。えーと見所としてはですね、1. 入ってすぐ左にかけてある温ちゃんのシルクハットに触り放題!*…