2007-01-01から1年間の記事一覧

兄なれどしもべの如くふるまひぬ

妹の春着はうすき紫に散り櫻など見のよろしけれ 妹の春着は何の色をなど母問ひたまふ村濃卷染 兄なれどしもべの如くふるまひぬわれにひとりの妹なれば 別れとは悲しきならひ妹のうるめる瞳みてあることも 本の間にはさまりてありし妹のぬけ毛をみ出でさしぐ…

ぐるぐる回る話

百物語怪談会―文豪怪談傑作選・特別篇 (ちくま文庫)筑摩書房Amazon 藤原編集室の今日のあぶくで、泉鏡花がぐるぐる回る話が紹介されている。おおこれは読んだ、どこかでつい最近読んだ。そうそう、「百物語怪談会」所収の「巻末付録 不思議譚」のなかに同じ…

人をよくいじめていた僕は……

田村書店は今週いっぱい恒例の全商品30%オフセールをやっている。最近はドイツのペーパーバックが一冊百円でやたらに出ているので、調子に乗って買いあさっていたら、とある一冊に、こんな紙切れが挟まっていた。 「深田先生、田代さん、小雪さん」、それか…

矢野目源一「搖籃」

書肆アクセスに入荷しました。 神保町にお立ち寄りの際はぜひぜひ。

手が、手がっ!

平井功ポオ論(仮題)を校正していると、不思議や己が手が、何者かに魅入られたようにひとりでに動いて、新字を旧字に直していくではないか。 ああどうしたことであろう。何者かの呪いであろうか。またあの旧字地獄がすぐ目の前に迫っている。事態は予断を許…

文豪怪談・三島集を巡って4 (回る炭取の巻)

三島由紀夫集 雛の宿―文豪怪談傑作選 (ちくま文庫)作者: 三島由紀夫,東雅夫出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2007/09/10メディア: 文庫 クリック: 4回この商品を含むブログ (16件) を見る 昔むかし、理科の時間には蛙の解剖というものがあった。(今でもあ…

矢野目源一「搖籃」

古書肆マルドロールさんから、初回出荷分完売の連絡をいただきました。ありがとうございます。 きょうあわてて追加分を送りますが、そろそろ在庫も少なくなっていますので、ご興味のある方はお早めに〜

二人のみーちゃん

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 善意の指針は悪意 2 (2)(電撃文庫 い 9-2)作者:入間 人間メディアワークスAmazon 「みーちゃん」といえば、大学生の娘を持つ、Bk1で書評を書いている、一部で大人気のおじさんをつい連想してしまいますが、これは入間人間…

矢野目源一「搖籃」

神保町の書肆アクセスにも置いてもらえることになりました。(今時点ではまだ本さえ送っていないので、お店にならぶのはまだ先の話になると思いますが)

使い回しヨク(・A・)ナイ

エドガー・アラン・ポー短篇集 (ちくま文庫)筑摩書房Amazon 『某』マイナス三号は平井功の英文学関連論文をお届けする予定。11月11日の文学フリマ刊行を目指して鋭意編集中。 その論文はポーの謎詩(アクロスティック)を扱っている。アクロスティックとは何…

生田蔵書放出

このところジョン・コリア関係でずっと休日がつぶれていたが、翻訳も解説も実質的に終わった(ことを祈る)ので、久しぶりに古書店を回った。 旧知の古書店に入って四方山話。その店主の言うことには、生田耕作旧蔵書が洋書の市に三週続けて出たそうだ。どう…

ジョン・コリアは難しい14(和爾桃子さん萌えの巻)

千の脚を持つ男―怪物ホラー傑作選 (創元推理文庫)東京創元社Amazon 翻訳で何が楽しいといってギャグを訳しているときほど楽しいときはない。ギャグがなければ、世界は貧しく狭い場所になってしまう。でもときにはちょっとやりすぎたかな? と思うときもある…

ジョン・コリアは難しい13(差別語の巻)

老人と若者がカフェで話をしている。 老人が胸のポケットから小切手を出して若者に見せる。 若者「おおこの小切手は保証付き(certified)ではないですか」 老人「そうですよ。それこそ連中が私に対してなしえないことなのです」 よく分からないながらも書い…

文豪怪談・三島集を巡って3(怪談文体の巻)

三島由紀夫集 雛の宿―文豪怪談傑作選 (ちくま文庫)作者: 三島由紀夫,東雅夫出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2007/09/10メディア: 文庫 クリック: 4回この商品を含むブログ (16件) を見る この話題をいつまでも引っ張るつもりはないけれどもう少し。 とはい…

文豪怪談・三島集を巡って2(現人神の巻)

三島由紀夫集 雛の宿―文豪怪談傑作選 (ちくま文庫)作者:三島 由紀夫筑摩書房Amazon 「家畜人ヤプー」「O嬢の物語」そして「英霊の聲」。これら三作を読むに耐えない書として、まとめて屑篭に放り込むのはまあいいだろう。態度が一貫しているから。しかしどれ…

もうひとつの人外魔境

異人類白書作者:浅暮 三文ポプラ社Amazon コリアの「宵待草」は(あの名作、白倉由美の「デパートのアリス」と同じく) デパートに棲みつく人々の話であったが、コリアの時代よずっと複雑化している現代都市には、デパートと言わず、至る所に人の住み着ける…

ジョン・コリアは難しい12(資料発掘の巻)

昨日から探していた資料を雑本の大地層からついにサルベージ! コリアのハリウッド行きに一役買ったヒュー・ウォルポールの伝記である。 モームの「お菓子とビール」とか、あるいは本人の「銀の仮面」とか読むとこの人はホントーに嫌な奴としか思えないけど…

文豪怪談・三島集を巡って1(言霊の巻)

三島由紀夫集 雛の宿―文豪怪談傑作選 (ちくま文庫)作者: 三島由紀夫,東雅夫出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2007/09/10メディア: 文庫 クリック: 4回この商品を含むブログ (16件) を見る 人の書いた言葉は、その人が死んだ後も残る。運がよければ千年経と…

「それも心々ですさかい」

“文学少女”と慟哭の巡礼者 (ファミ通文庫)作者: 野村美月,竹岡美穂出版社/メーカー: エンターブレイン発売日: 2007/08/30メディア: 文庫購入: 6人 クリック: 137回この商品を含むブログ (277件) を見る 浦賀和宏やユヤタンにも劣らぬ鬱展開サーガで読者を愉…

ほんの少しのナツメグ

今日の早川さん作者: coco出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2007/09/07メディア: コミック購入: 8人 クリック: 264回この商品を含むブログ (371件) を見る これを読んで、読書オタクの世界はのほほんとして幸せそうでいいねえと思った人もいるかもしれない…

文学フリマ

11/11の出店が確定しました。 今回はMYSCON協賛の面妖な企画もあります。そのうちMYSCONサイトにも出るはず。 某マイナス三号も出したいのお、なあ婆さんや? えっ解説?(∩゚Д゚)アーアー以下略 *今日来たメール。 ゆりかご落手、ありがとうございました。無い文…

まだ終わらないよママン

Men's Quartersって何やねん。明日は図書館に大きな辞書を引きに行こう。 でも「とんちき」には修正指示が出なかったのでこのまま載るはずだ……たぶん

快楽―薔薇小説〈1〉 (薔薇小説 1)作者: ガブリエーレダヌンツィオ,Gabriele D'Annunzio,脇功出版社/メーカー: 松籟社発売日: 2007/08/01メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (4件) を見る 久しぶりに新刊書店に行ったら脇功先生の翻訳した本…

明日には終わらせないとそろそろまずい

直せば直すほど変になっていくような気がするのは気のせいか

リテイクは哀しからずや疑問の黒 直しの赤にも染まりただよふ

↑すでに原形をとどめていない初校ゲラ。逃げちゃダメだ!

ジョン・コリアは難しい11(書誌錯乱の巻)

世界ミステリ作家事典―ハードボイルド・警察小説・サスペンス篇作者: 森英俊出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2004/01/01メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (4件) を見る 前にも一回書いたけれど、ジョン・コリアの信頼できる書誌はど…

『らき☆すた』が読めません

らき☆すた (1) (単行本コミックス)作者: 美水かがみ出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2005/01/08メディア: コミック購入: 6人 クリック: 260回この商品を含むブログ (449件) を見る なにやら必死な支持者もWeb上にいると伝え聞く『らき☆すた』。いったいど…

Trivial Tremendouses

インシテミル作者:米澤 穂信文藝春秋Amazon 「容疑者Xの献身」が本格ではないという人がいれば、「インシテミル」がハードパズラーではないという人もいる。どちらも作品自体を貶めているわけではない。「ジャンルが違う」と言っているにすぎない。しかし、…

ジョン・コリアは難しい10(原文行方不明の巻)

コリアの"Roughest Shot"という作品がドイツ版プレイボーイ傑作選(PLAYBOY STORY 2 Moewig Verlag 1979)に訳載されている。ドイツ語の訳題は"O Gott! Ich habe meinen Freund erschossen"。 ところがなぜか、この短篇は本国版のプレイボーイに載った形跡が…