豆本応募御礼

豆本応募は結局締め切りまでに90近く来たそうです。応募して下さった皆さんありがとうございます。

お盆休みの影響もあり(けしてコミケの影響ではないですよ?)皆さんへの発送は20日頃になる予定です。申し訳ありませんがいましばらくお待ちください。

【8/2追記】その後の調査により応募は90を突破していることが判明しました。豆本は予定通り100部作ります。

大いなる野望

ミステリーズ! Vol.96

ミステリーズ! Vol.96

じゃーん! 来月出る「ミステリーズ!」8月号にレルネット=ホレーニアの短篇が載ります。版元サイトの内容紹介欄でも堂々とディスクローズされているので情報解禁とみなし、ここでも宣伝させていただきます。今回の「ミステリーズ!」は西崎憲さんの新作短篇とか、東雅夫さんと恩田陸さんとの対談とか、「奇妙な世界の片隅で」の中の人による怪奇幻想小説翻訳概況とか、その筋の者は必読の内容が満載です。おうおうそれから新保教授も何か対談するらしいです。

実は拙豚はT京S元社からレルネット=ホレーニアの二冊目を出すという大いなる野望を持っていて、そのための布石を打ちつつ虎視眈々と機会をうかがっているのです。とはいうものの、残念ながら前作『両シチリア連隊』の売れ行きが担当編集者の方の大奮闘にもかかわらず今一つだったようで、野望実現まではまだまだ幾多の困難があるやに見受けられます。本当はペルッツと同じくらい面白いのですが。

とこういうことを書くと「ははあキャベルの翻訳を一か月遅らせたのはレルネット=ホレーニアを訳すためだったのか!」と勘繰る人がいるかもしれませんが、そんなことはありません。これは別腹です。英語でいうとアナザーストマックです。たびたびこういうことを書くと、お前は牛か! いったいどれだけ胃袋があるんだ! とも言われそうですが、まあ誰しも胃袋の三つか四つくらいは持っているものです。

豆本締め切り迫る!

『怪奇骨董翻訳箱』刊行記念 (巨大)豆本プレゼントキャンペーンの締め切りが今月末に迫りました。今時点の状況ですと余裕で全プレなのでふるってご応募ください。(ちなみに豆本発送等の事務はすべて国書で行いますので、わたしに応募者の個人情報が洩れることはいっさいありません。)

応募方法は簡単です。以下の要領でツイートしてください。

1.ハッシュタグ「#怪奇骨董翻訳箱」をつける。
2.購入した『怪奇骨董翻訳箱』の写真を添える。
3.何かコメントを書く(コメントは「豆本キボンヌ(死語)」でも何でもいいです。必ずしも中身を読んでいる必要はありません)。
4.国書刊行会のTwitter(@KokushoKankokai)をフォローする。

特に4を忘れるとDMが届かないので注意しましょう。

それでは! たくさんのご応募をお待ちしています。

ギョ~ルゲ~

 
不思議な魅力のある本が出た。

どこか外国の、大きすぎも小さすぎもせず治安もまずまずの町に着いて、ひとまずホテルにチェックイン、さてこれから行き当たりばったりにあちこち回ろうか、といったようなわくわくした感じがこの本にはある。

しかし、観光にしてもこの本にしてもそうなのだが、あちこちを見物していくうちに、だんだんと景色より歴史に圧倒されるようになる。短めの短篇として語られる『方形の円』の諸都市は、どれもその分量に似合わない遥かな時間を内包している。

カルヴィーノの『マルコ・ポーロの見えない都市』はおそらくは全部同じ都市(つまりヴェネツィア)のさまざまな相を語った物語だと思うが、この『方形の円』はもちろんそんなことはない。個々の都市は時間的にも空間的にも孤立して遠く隔てられている。

そこからただちに光瀬龍の描く諸都市が連想される。東キャナル市とか、ヴィーナス・クリークとか、木星のプランクトン・シティとか、あるいは、パッチワークで作られようとしていたアイララのレプリカとか。どの都市にしても、この『方形の円』のなかで語られていても違和感がないではないか。

「ギョルゲ」という作者の名もいい。佐藤有文の世界妖怪図鑑にでも出てきそうな響きだ(実際はたぶん「ジョージ」のルーマニア語読みにすぎないのだろうけど)

失われた『魔都』断片

 
鏡明の『ずっとこの雑誌のことを書こうと思っていた』を読んでいたら、十蘭の『魔都』の話題が出てきた。この本の中には「マンハント」の編集長だった中田雅久へのインタビューが入っている。中田氏は終刊直前の「新青年」の編集に携わっていたことがあり、その関係で『魔都』のことも出てくる。

なんでも、小説中に入る挿絵が凸凹したりして不定形になっている場合、「新青年」の時代には律儀にその凸凹に沿って活字を組んでいたそうだ。すると字数計算が難しくなるから、予定したページ内に小説の原稿が収まらない場合が出てくる。そんなときどうするかというと――中田氏の話によると恐ろしいことに――小説を勝手に縮める場合があるのだそうだ。

『魔都』の、国書版全集第1巻でいえば、p.314下段11行目から12行目にかけて、場面が不自然に飛ぶ。いままで屋内だったのが、急に崖の下の場面になる。中田氏の推測によれば、「新青年」に掲載されたときの当該ページには面倒臭い形をした挿絵があるので、編集子が字数計算を誤って一パラグラフ割愛したのではないかということだ。

言われてみれば確かにそんな感じがする。原稿でも残ってない限りもはや確かめようもないことであるが……

ただいま急落中

今朝見てみると、『怪奇骨董翻訳箱』はもはやhontoのホラー・怪談ランキング中に影も形もありません。ああやはり三日天下ならぬ一週間天下であったか。

でも代わりに『猫の目時計』とか『怪奇文学大山脈』とか『怪奇小説の世紀』とかが浮上してきているのが頼もしい。それにしても『怪奇小説の世紀』って、四半世紀前の発行なのにまだ在庫持ってたんですね。「最後の一冊まで売り切るぞ!」という気概もまた頼もしいではありませんか。

ただいま爆走中

一週間ほど前から書店にも置かれはじめた『怪奇骨董翻訳箱』ですが、hontoのホラー・怪談ランキングでなんと2位に躍り出ています。これは24時間の集計ですが、一週間の集計でもやはり2位。ベストセラー街道爆走中であります。買ってくださった皆さま、どうもありがとうございます。

しかし、高々***部しか刷っていない本が堂々2位に躍り出るとは、いかに本が売れていないかが如実に現れていて、なかなか手放しでは喜べないものもあります。しかし、しかしですよ、全国の書店の皆さん、もし『怪奇骨董翻訳箱』を棚に置けば、きっと誰かが買ってくれることと思います。hontoのランキングがそれを証明しています。なにとぞよろしくお取り計らいください。

豆本プレゼントのお知らせ


『怪奇骨董翻訳箱』刊行記念 豆本プレゼントキャンペーンのお知らせが国書刊行会のサイトにアップされました。皆さまふるってご応募ください。サイトに書いてありますように、写真に添えていただく文章は任意の内容でかまいません。「本が届いた、今日はいい日だ」でも「月がきれいですね」でも「クッキー焼いてフリマで売ってろ」でも全然大丈夫です。

つまり応募前に全部読む必要はないということです。訳者としてはガーッと一気に読まれるよりは、むしろチビチビと少しずつ読まれるほうがうれしいです。あるいは本棚に十年二十年と飾っておかれたのち、ある日ふと思いたってページを開かれたらもっとうれしいかもしれません。

また応募案内には「豆本」と書いてありますが、現在のところ2017年10月16日の日記に記した事情により巨大化は避けられない見通しです。でも努力目標としては、極力文庫本の大きさは越えないようにしようと思っています(この前も同じことを書いた気がしますが)。

ちなみに「ハハア『イヴについて』の〆切を一か月遅らせたのはこの豆本を作る時間を捻出するためだったのか」と勘繰る人がいるかもしれませんが、それはまったくの濡れ衣であります。豆本作りの時間は別腹です。英語でいえばアナザーストマックです。

骨董箱販売開始!

『怪奇骨董翻訳箱』がついにアマゾンで販売を開始しました。

 
ほかより少し早いようです。取次を介していないのかもしれません。それとも蕎麦屋の出前みたいなもので、「今出ました!」と言いながら実はまだ入荷を待っているのでしょうか。

ああしかし、思い起こせば幾星霜、「こんなのやってみませんか」と版元からお話をいただいたのが2017年の春ころ、初稿を提出したのが2018年8月末、それがようやく形になりました。何というか、「は~るばる出たぜ箱入り~ さ~かまくうみをの~りこえて~」という感じです。気分はサブ北島です。

どうぞなにとぞよろしく。

キャラが濃い

京都大学生協発行の書評誌『綴葉(ていよう)』で『どこに転がっていくの、林檎ちゃん』をとりあげていただきました。評者はねこさん。ありがとうございます。PDF版はここから読めます。

書評にいわく「脇を固める人々も中々キャラが濃い」。実にそのとおりです。この小説が今も古びない理由はそんなところにもあるのでしょう。